スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

時間のおとしもの

あらすじ

『携帯電波』

―少女が台所で偶然見つけた携帯電話。
耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて・・・。

『未来を待った男』

―この時代にタイムトラベラーを呼び寄せる。
それが男の目標だった。

『やり直したいことがある』

のだという。
そして、ついにその時が訪れる。

『ベストオーダー』

―四人の俺が、同じ場所に現れた。
自分自身が複数いるこの状況を前に、俺達四人はしばし考えた後、
全員で共謀し、『完全犯罪』を企てる。

ほか、書き下ろし短編『時間のおとしもの』を含む、
時間に囚われた人間たちの、淡く切ない短編集。

感想

メディアワークス文庫1月の新刊
『昨日は彼女も恋してた』『明日も彼女は恋をする』などの入間 人間さんの短編集

『時間』を題材にした作品集
上記作品2つもタイムトラベルものだったのでこれも楽しみにしてました

短編集なので短編ごとの感想で・・・

『携帯電波』

これは『時間』じゃなくて『並行世界』を題材にした話・・・
と思いきややっぱり『時間』が題材の話・・・かな?

父親がいない少女・『わたし』が主人公で、彼女が仕事で忙しい母親と電話で話した後
隠されるようにしまわれていた携帯電話を発見し、
その着信を受けたら相手は自分と同じ声の相手

でも話が終わったあと、彼女は世界の雰囲気が変わっている事に気づき
しばらくして帰ってきたのはまるで自分を娘のように扱う父親のような男

電話によって別の世界の自分と入れ替わる・・・という話。
軽くホラーが入ってますね。

その後も、元の世界に戻ろうと電話を繰り返して世界を移動するけど
元の・・・母親はいる世界には到達できずに・・・電池切れ
元の世界にも戻れず、見知らぬ父親(最後の世界のは癇癪持ち)と
暮らすしかなく見覚えはあるけど違う友人達

彼女は結局なじむ事ができず大人になって一人暮らしになり・・・狂う事に

ここの場面色々とやばいです・・・彼女の考えている事が羅列されている感じなんですが
思考の吹っ飛び具合とか切り替わり具合とか凄く読みにくい状態になってます。

わかりにくい、読みにくいからこそ精神的にいっぱいいっぱいだって事はわかるんですけどね。

箱をバターで炒めて齧りはじめた時は色々ともう末期な気がしましたけどね・・・
でも炒めたせいなのか、ずっと弄ってなかったので運良くなのか・・・
携帯の電源が復帰

22歳となった今更、入れ替わって大丈夫なのか・・・とは考えるけど
最初に電話してきたのは最初に入れ替わった自分のせいだから・・・と電話

気づいたら小さい娘と一緒に夫の葬儀の帰り・・・という場面
『自分の娘』の存在も受け入れ、彼女とずっと一緒にいると誓い無事期間
ちゃんと『自分の娘』にとっての祖母・・・自分の母の存在も確認済み

これで終わりか・・・と思ったんだけど6年後の仕事中
『自分の娘』から電話がかかってきて忙しかったので冷たい対応に
だけどそのやり取りはとても覚えがあるもの・・・
自分が世界を移動した時の会話と同じものであると気づいて驚愕
自分が携帯を隠した場所も、自分がかつて見つけた場所と同じ

急いで家に帰ると電話を片手に持った娘が・・・
母親を認識しているから『自分の娘』ではあるんだろうけど・・・

結局、『わたし』はどこから始まってのるか?という疑問が残った状態で終了

『わたし』の母・『わたし』・『わたし』の娘

全てが同じ経験をして繰り返し最初に戻っている同一人物では?
というちょっと怖い話になってました。

まさに卵が先か、鶏が先か・・・って感じの話
最後の最後でこう落としてくるとは・・・って感じでしたね。

ちなみに『わたし』が元の世界に戻る前に済んでいた場所は
『まるごと一冊“入間人間”』に収録されていた『茸姫』の主人公が住んでいた
アパートと同じっぽい・・・安生さんって人が住んでたから・・・
でも同じ世界って設定だと・・・あのアパート崩れるんだよな・・・

『未来を待った男』

そのまんまのタイトル
ただし主人公は『未来を待った男』ではなくタイムマシンを作った女性の左門

男・・・瀬川がどうしてもタイムマシンに乗って過去に行き、変えたい過去があると
バタフライ効果・・・ちょっとした切欠が廻りまわって大きな影響を与えるという現象に注目し
自分の元に未来からタイムマシンに乗って未来人がくるとように奮闘しだし
彼の友人である左門『時間』を研究するものとして不満を持ちながらも
そんな彼に友人として食事を差し入れたりしていたけど1年経ってもそれはうまくいかず
結局、瀬川は諦めて・・・そして大学を卒業して2人は疎遠に

だけど左門は時折、瀬川との他愛無い思い出を思い返しながらも研究を続け
80台まじかくらいでようやくタイムマシンを完成
タイムマシンを作ったら載せてやる・・・という約束を瀬川としていた事や
彼が過去のなにを変えたかったのか・・・そして時間旅行をした人間はどうなるのか
という自分の興味に対して自分すら実験の材料として過去へ

そして老婆となった左門がすぐに未来の彼女であると気づいた現代の瀬川
彼がどうしても変えたかった過去は・・・

左門が好きだから、出会いのシーンをやりなおしたい

ラブコメだったのかよ!? (」゚□°)」なにぃ!!

彼が左門に対して変えたい過去について言葉を濁していたのはそれが理由だったわけね・・・
そして左門が思い出してたシーンの瀬川の行動を考えるに、密かにアピールはしてた様子
左門はまったく欠片も気づいてなかったみたいだけど。

さすがの左門自身もそれは予想外で困惑していたけど、
そのあまりにばかばかし事にタイムマシンを使おうとした瀬川
左門はやっぱり彼は彼だ・・・と思った感じ。

結局、タイムマシンには乗せずにさっさと告白してこいと助言
最終的に瀬川が現代の左門を誘って居酒屋で会話しているのを見守り
まぁなんとかなりそうかな?って思ったところでその場を離れることに。

ぶっちゃけこの話を読んでいればわかる事なんですけど
左門の青春の思いでは瀬川の事だけだし、
彼の事があったからタイムマシンを完成させた

人はそれを好意があるって言うと思うんですけどね・・・
彼女自身はなんとも思っていなかったって言ってましたけど
自分でもわかってなかっただけなんじゃないないかな?

でもタイムトラベルはここで終わらずもう1度・・・

左門は自分と瀬川が出会う前の・・・
彼がやり直そうとしていた出会い・・・実際に出会う前に一度声をかけようとして
老婆に絡まれてそれをなせなかった時の時間に
左門瀬川をはじめて見かけたときの時間に戻る。

彼に絡んでいた老婆が未来から来ていた自分であり、
それがあったからこそ左門瀬川は友人として出会えたから。

恋人になるかどうかは発破をかけた瀬川しだい
だけど2人の出会いに関してだけは変えたくなかったって事なのかな?
2人の関係がいい感じに面白かったです。

この作品の中で左門の知り合いの話ということで
クリスマスを何度も繰り返した男の話しがでているけど
これは『19-ナインティーン』というアンソロ小説にあった『19歳だった』の主役の話ですね

こういう些細なクロスオーバーを入れてきたり、『並行世界』の登場人物がでてきたりと
あいかわらずこの人の作品は仕掛けが楽しい

『ベストオーダー』

大学生である正直がバッティングセンターでバッティングをしていて
気づいたら隣とその隣とさらにその隣に自分がいる事に気づき
他の3人が『並行世界』の自分であると確信
とりあえず4人で話し合って家に戻り、4人いる事を生かしてなにかしよう・・・という話

根本的にどこかがおかしい・・・

まずはバッティングをしていたケージ番号で1号~4号と区別
4人の中で一番粗野で乱暴な3号が同じアパートで大金を溜め込んでいるという
美人だけど人間不信な女性宅からお金を盗むことを提案

翌日実行で一番肝っ玉が小さい2号が大学で試験を受け
午後はバッティングセンター・・・といった具合でアリバイをつくり

3号が変装して買出しに出かける女性の足止め

1号4号が盗みに・・・という流れで、
特に4号は冷静で女性と元の世界ではいい仲だったと
金の隠し場所まで知っていてうまくいき、
さらに物音を怪しんだ管理人に部屋に2名の人間がいると思わせて
犯人が複数という証言をするように仕向けるという冷静っぷり

だけど戦利品を持って部屋に帰った4号1号を殺害
帰ってきた2号1号4号が変装)に殺害
さらに最初から残りの自分を殺してお金を独り占めしようとしていた3号
2号に変装していた4号に殺害

結果的に4号一人が残り、残りの三人は死体も残らず消滅
これで一件落着・・・

ってヤバイよー、コイツどっかおかしいよー

4号は同じ状況下で生き残った1号が未来からきた存在だったらしく
死ぬと死体が消滅する事も、3号が自分達を殺そうとする事もわかっていた
だから万全の状況を作り出した上で自分が金を独り占めして
さらにアリバイを作り、その後邪魔になる3人の自分を殺す事にした模様

わかっているから・・・としてもそれを実行できてしまうだけで
彼がどこかおかしいという事は間違いないですよね・・・

アリバイも完璧、お金も手に入ってウハウハ・・・
これだけ3人の自分と女性、目撃者を『ベストオーダー』できるのは自分だけだ・・・
と自信満々だった彼

だけどそんな彼の全てを覆すのはまさにそういうものとは

別の自分の短絡的な思考
そして隔絶した・・・圧倒的な異才とも言うべき能力だったわけですが・・・
つまり・・・

一目見たら直感で犯人がわかる女流探偵

うん、無理ゲーだよね・・・
どんな犯人もどうしようもないよね・・・コレ・・・

見られたらバレる・・・アリバイとか具体的な手段とか全部無視
見ただけで犯人と断定され、その能力を信じる人間に言えば
あとは犯人を中心に証拠集めをして粗探しするだけ・・・

捜査して結論ではなく、結論からの捜査
そりゃ圧倒的に有利だよね・・・結果が確定しているなら
あとはそれを目指して調べればいいだけなんだから・・・
たとえその過程でわかった事がどれだけ信じられなくても
結果が絶対であるなら・・・迷わないですむ

最後はそれを頼りに捜査した探偵に呼びだされ見つかった様々な矛盾と証拠

3号が足止めを面倒だと思い女性を殺害してしまっていた事とか
たとえば試験を担当した講師が臨時で変更になっていたのに知らなかったとか
バッティングセンターの経営者がスカートの中の盗撮用にカメラを仕掛けていた事とか

それらが全て4号に降りかかりごまかしきれなくなる事になって終了

この作品も『並行世界』『時間』の2つが結局は描かれていたわけですが
やっぱりこの2つは密接に関係しているからこそ・・・なのかな?
『時間』が変化すると『並行世界』は増えるわけだし。

主人公である正直の性格にはゾッとするものがあるけど
話の内容的にはおもしろいものでした。

ちなみに彼を追い詰めた探偵は『探偵・花咲太郎シリーズ』花咲 太郎
そしておそらく彼を犯人だと断定したのはトウキですね・・・

彼女の能力は犯罪者にとっては天災に等しいですね・・・あいかわらず
出会ってしまえばそれまで・・・という反則ですからね。

そして何気に花咲 太郎『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんシリーズ』登場の
女刑事である上社奈月の名刺を持っていたので知り合いらしい

あの町にトウキを連れて行ったら、なんか色々と大変な事になりそうな予感

『時間のおとしもの』

中心となるのは3人

中学時代同じクラスで時間が合えば話すくらいで、
特別な関係ではなかった『俺』『彼女』

だけど『彼女』は病弱で、入院が続き留年してしまい
『俺』『彼女』の交流も途絶えてしまった状態

そんな中で駅で『彼女』を見かけても意識しないようしながらも
もし自分に対して無関心な態度を取られたら・・・と心配する『俺』
電車で寝過ごしてしまい、同じように寝過ごした
小学生中学年くらいにみえる少女・吉田と共に少し話しながら行動する話

『おじさん』呼ばわりされながらも吉田と話し
『彼女』の・・・そして今は自分の口癖にもなっている『時間が止まったらいいのに』
という言葉に対して吉田『そしたら動けない』と口にしたことで
なにか納得してしまい、ズレてしまった『彼女』との時間を再び重ねようとする『俺』

『彼女』・・・結婚してたけどね!

読んでて思わずうわぁ・・・って思っちゃいましたよ・・・
再び2人がいい感じになるのかな・・・って思って読んでいたのに・・・あれ?って感じ
『俺』もそれによって余計にお互いの『時間』のズレを認識したみたいだけど
それでも『彼女』を避けるような事はせずにそのまま話していた。

ある意味で2人の間で止まっていた『時間』が動き出した事で
『俺』は今まで持っていた後悔のようなものを吹っ切れて動き出せるようになるんだろうけど
ちょっと可愛そうだったかも

『時間のおとしもの』『彼女』が元々言っていたもので
人の出会いを表したものだったみたいだけど、
この話ではどちらかというと『俺』吉田の出会いがそれになる感じ。

なんていうかこの作者・・・あいかわらず最後にどんでん返しとか好きだな・・・

ちなみに吉田はおそらく『ぼっちーず』で大学生だった短足の女性ですね。
この作品でも足が短いと描写されてましたし。

-------------------------------------------

『時間』を題材にした作品だけど、あいかわらずキャラクターの魅力がいい感じ
短編だから少なめだけど群像劇なんかも面白いし
キャラクターにそれぞれ特徴があるので良い感じ
それに細かい所で他の作品とのクロスオーバーを入れてきたりして
毎回そういう部分を探すのも結構楽しい

あとがきによると短編の『アイで空が落ちてくる』が諸事情で
未収録になりもう掲載されないかもという事なので残念かも
Webで掲載するかも・・・との事だからそれを期待したいところ。

雑誌掲載分の短編が収録されている雑誌や
『丸ごと一冊”入間人間”』は持っているけどかさばるからな・・・
短編を収録した短編集をバンバンだして収録してくれると嬉しいんだが・・・
どうだろうか・・・

電子書籍である『ちょっと無敵、だいたいこども。』も登録して
読んでるし・・・何気にこの作者さんの作品大好きだな・・・・・・

最後に一文。

『時間のおとしもの』に登場した『彼女』のセリフ
このセリフを聞いて思わず『俺』と同じ反応をしてしまったのでコレで・・・

「いやね。
 結婚しているしそろそろお嬢さんは無理があるに、
 分かるけど」


にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへクリックして下さると嬉しいです。
時間のおとしもの (メディアワークス文庫)時間のおとしもの
(メディアワークス文庫)

(2012/01/25)
入間 人間

商品詳細を見る

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

お久しぶりです!高校受験期間真っ盛りです。でもラノベ読むのは欠かさないです!でもやっぱり入間人間さんの作品は何気にハマッちゃいますよね。自分もそうなんで・・・。

Re: No title

コメントありがとうございます

> お久しぶりです!高校受験期間真っ盛りです。でもラノベ読むのは欠かさないです!でもやっぱり入間人間さんの作品は何気にハマッちゃいますよね。自分もそうなんで・・・。

ですよね・・・独特だけど・・・はまると・・・って感じです、
カレンダー(月別)
08 ≪│2017/03│≫ 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
FC2カウンター
カテゴリー
<< 全タイトルを表示 >>
最近の記事+コメント
最新トラックバック
その他
にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
応援バナー
アオイハルノスベテ応援バナー02

BaseSon最新作『真・恋姫†英雄譚』応援中!

プロフィール

kenkenMk2

Author:kenkenMk2
FC2ブログへようこそ!

生活費を削ってでもライトノベルを買いあさる読書中毒者です。 リンクフリーです!
うりゅー
リンク
グリムス
その他
あわせ読みたい
RSSリンクの表示
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。